エクセルで書くと、
=SQRT(SUMSQ(セル))
2乗平均平方根とはまったく異なるから注意!!
誤差を二乗和平方根で計算するとは
累積誤差=√Σ(誤差^2)
と見積もることを指します。
これもエクセルで書くとするなら
誤差をA1セルからA5セルまで入れておいて
誤差=SQRT(SUMSQ(A1:A5))と計算することです。
個々の誤差が正規分布なら、これで大丈夫です。
ところで本当に個々の誤差は正規分布なのかな!?
そして図面や仕様書に±Aって公差が書いてある場合、
そのAは3σなの?4σなの!?どう解釈すればいいの!?
ってところがみんな謎なんじゃないかと思います。
エクセルでのモンテカルロ誤差計算の方法を知りたい方は下記記事を参照してください
漠然と腑に落ちない誤差計算
- 二乗和平方根って便利だけど、どこまで信じていいのか良くわからない。
- モンテカルロ法って何?なんか胡散臭くない??
- 標準偏差と設計公差レンジって結局関係あるの?
- なぜシステムが一発完動しないのか。
この記事の目的
- 代表的な誤差検討手法3種のそれぞれの比較。
- 二乗和平方根の根拠(分散の加法性)とその適用限界(線形結合モデル)について明らかにし、 設計で使用する際の注意点を明確化する。
代表的な誤差計算手法
- ワーストケース検討
- 2乗和平方根
- モンテカルロ法
ワーストケース検討による誤差解析
例えば図面や仕様書上、±1という公差がふられていた場合、その最大値(この場合1)を単純和してアセンブリ状態での誤差を
議論する方法である。
交差が±1の部品が3つあったら、その誤差は±3になるよってこと。
累積誤差=Σ最大誤差
メリット
- 簡単かつ直感的。
- 単純明快ノーリスク
- 過剰品質になりがち。
- 部品点数少ないときは有効
- 部品点数多い時は馬鹿馬鹿しいほどに過剰品質になる。
ワーストケース検討の例題
積み木の Z error stack要求定義
N個の積み木をHTargetmm±ΔHmmに積み上げる。この際の個々の積み木の⊿hnはどの程度の精度が要求されるかを計算する。
誤差解析の課題
それぞれの積み木の設計狙い値をhnとして、設計公差Δhnはどのように割り付ければ良いか。
積み木の高さの設計狙い値はご存知のとおり、
h = Htarget / n
積み木の個々の高さに誤差が無ければこれで終了。
残念ながら現実には誤差が存在し、
実際の積み木の積み上げ高さは
H = [理論値]+[誤差] = h × n(=Htarget)+誤差の総和 と
なる。 実際の積み木の積み上げ高さ
H = h × n(=HTarget)+誤差の総和
上記を誤差について解くと、
誤差の総和= [実際の高さ] – [理論値] = H – h × n( = HTarget)
積み木個々の高さは h = HTarget / n (式1)
H±ΔH = h1+h2+…+hn =(h±Δh1) +..+ (h±Δhn=N) = h×n +ΣΔhn
ただしワーストケースにおいては H±ΔH = h×n ±n × Δh (式2)
式2から式1を引くと、 ΔH= n × Δh
求めたい積み木個々の誤差Δhについて解くと、
Δh= ΔH/n (式3)
式3の解釈
高さ要求精度ΔHを完全に満たすための積み木個々の高さΔhは部品点数に反比例して厳しくなる。
2乗和平方根による誤差解析
ワーストケース検討は馬鹿げている。そのため、皆さんがいつも使用しているツールがご存知、
「二乗和平方根による検討。」
出来る限り厳密に表現するならば。。。
「仮に部品誤差の確率分布期待値が正規分布に従っているとすれば、分散の加法性に基づいて部品誤差の設計値周りの二乗平均平方根の二乗和平方根がアセンブリ状態での設計値周りの二乗平均平方根になる法則。」
背景と根拠と適用限界は後で説明するとして
バカ正直にツールとして 使った結果のみをまずは次ページより示します。
我々が良く知っている事実
積み木全体の高さ誤差ΔHは
個々の高さ誤差Δhに対して、
おそらく以下のような関係性があると思う。
ΔH=sqrt( (Δh1^2) + (Δh2^2) + … + (Δhn^2) )
=√(Σ(Δhn^2)) (式4)
仮に、Δhが全部の積み木個々で同じ程度であれば、
Δh=Δh1=Δh2=…=Δhnと置いて、
ΔH≒√(n) × Δh(式5)
(式5)の解釈
「部品の数の平方根に比例して誤差が増える」式5をΔhについて解くと Δh=ΔH/√n (式6)
もしも式6が正しいなら、
ワーストケース検討の Δh=ΔH/n(式3)と比較して、
過剰な誤差見積もりの程度の定義
過剰誤差見積もり=(N−√N)×(物理量、長さ?)計算に必要な仮定
- 結果が個々の独立した現象の線形結合でモデル化できる。y = ax1 + bx2 + … ⇒応用可能なフィールドが極めて限定的。例えばバネ半力の誤差計算や姿勢(三角関数)の絡む問題には使用が難しい!!座標変換の知識が必要になる。
- 誤差の分布が正規分布(ガウシアン) ⇒かなり怪しい。
- 実際の部品の実測結果の設計値周りの二乗平均平方根と設計公差になんらかの関係がある。 ⇒例えば、3σ=設計公差半値幅の仮定など。 そんな馬鹿な。
- 設計値と実際の部品の実測結果の算術平均値が一致している。 ⇒そんなことはありえない。
分散の加法性に基づいた二乗和平方根を使っても良い場合とは
- 誤差モデルが線形結合の形で表現できる。 非線形方程式は使用できない。
- 少なくとも選別品ではない。選別品の確率分布は正規分布にならないため。
- バックデータ、もしくは数多くの実績があり、公差=3σなどの仮定が信頼できることが既知である。
- 相対比較やコンセプト改善比較には有効。
- 前提/仮定を正しく理解して使用する限り、簡便かつ効果的手段。
線形モデル(Linear)とは。
- 概念的には「入力に対して出力がまっすぐ立ち上がる。」
- 実用的には「重ね合わせの原理が使える」
- 数学的には「加法性(f(x+y) = f(x)+f(y))と斉次性(f(ax)=af(x))を満たす」 もしくは行列式(線形写像)で表現できる。
身近な線形モデル;
積み木の高さ誤差stack ΔH = Δh1+Δh2身近な非線形モデル
バネの力;F+ΔF = (k+Δk)×(x+Δx)=kx+kΔx+xΔk+ΔkΔxモンテカルロ法
後日暇な時にまとめます。Excel使えば超簡単!かつ上記二つより信頼できます。
実測データを叩き込めるのがとても良いです。
私はこれをオススメしたいのですが、まだ記事がまとまっておらず。。。
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