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土曜日, 7月 16, 2016

理系でフリーランスだなんて、もったいない!!サラリーマンエンジニアという生き方。

雇われエンジニア8年目の社畜の独り言ではございますが
まぁ割と中堅のような立場になってきたこともあり、
いよいよ仕事が楽しくなってきました。

最初はどうすれば楽しい仕事ができるのかよく理解していなくて
くそつまらない時期もありました。
辛い時期もありました。体調崩して休職すらしたことがあります。

とはいえ、8年目ともなるといろいろ学んだこともあり
どうすれば仕事が楽しくなるか!?
という、コツが、なんとなくわかってきました。

これはスペシャリストになりたいあなたへ贈る記事であります。
ゼネラリスト志向の人向けでは、ありません。

僕の主張は簡潔です。
エンジニアとしてスペシャリストになりたいのであれば
大企業のサラリーマンエンジニアこそが至高!!
以上です。

フリーランスはやったことないですけど
さぞや大変だと思います。

なぜか。
雑務から何から全部やらざるをえないからです。

フリーランスになると経営にまで踏み込まざるをえないです。
キャッシュフローを破綻させないよう、慎重な金回しが必要になります。
そんな中で技術的に集中するなんて、おおよそ不可能な話です。
おそらくはキャッシュフローを維持するのが精一杯で
長期的視野に基づいた仕事なんて捗らないでしょう。

ゼネラリストにならざるをえないのが、フリーランス。
スペシャリストには、絶対になれません。

他方、サラリーマンエンジニアだと、どうでしょう。

大企業にいればやりたい放題です。
目先の日銭なんて頭の片隅に置いといて、
数年後、10年後を視野に入れた、投資的な仕事ができます。
日々の業務の中に勉強をねじ込むことだってできます。
(会社が潰れない限り。。。)

やりたい仕事ができないからフリーランスになろう
という判断は大きな間違いだと、僕は確信しています。

まともな大企業ならやりたいことはやりたい放題です。
もし仮にやりたい放題じゃないと思うのであれば、
それはその人の交渉力欠如です。根回しとプレゼンが下手なだけ。
要するにサラリーマンとしてのスキルが足りていないのです。

やりたい仕事は、創れる。
これが社会人を8年やって理解したことです。

ちゃんと企画書作って予算引っ張ってきて、ちゃんと根回しができる人は
分業が進んでいる大企業なら、やりたいことが選択的に、ちゃんとできる。
分業・選択と集中こそが大企業の特権です。それを生かさない手はありません。

この程度の根回しや交渉ができない程度の人材は
エンジニアとして独立するのは大変危険なのです。

やりたい仕事は勝ち取る。
これは僕がいつも仕事しながらフォーカスしていることです。
とにかくやりたいことに関してはきっちり結果を出す。
やりたいことを会社の利益にどう絡めてアウトプットを出すかを考え抜く。
最終的に儲かるんであれば、会社は文句言いません。
会社の体力が続く間にマネタイズできる展望さえあれば。。。
でも、それを周囲にちゃんと説明できることが大事
それさえできれば長期的視野に基づいた仕事ができるようになります。
営利企業で働く限り、マネタイズのことだけは絶対忘れちゃいけません。
ですが大企業であればあるほどマネタイズを先送りすることが可能になるわけです。
要するに大胆なことができます。リスクを取れるんです。
経営危機にでもならない限りどうせクビにはならないんだから
技術的にはリスク取りたい放題でハイリターン狙えるわけです。
なぜなら大企業ならテクノロジーポートフォリオが組まれているからです。
規模が小さいとポートフォリオも組めないので技術でリスクテイクができない。
だからフリーランスになったらさぞやつまらないだろうなと思います。

ポイントはもう一つあります。
目の前の仕事に忙殺されないことです。
ちゃんと業務中の時間は自己管理して、
長期的視野に基づいた投資的な仕事を、
1日1時間でもいいからなんとかして確保するのです。
じゃないとエンジニアとして伸びない。やりたい仕事にたどり着けない。
この程度の時間管理ができないようであれば、
やはりエンジニアとして独立するのは危険だといえるでしょう。

やりたい仕事、楽しい仕事をやりたい。
特定分野のプロフェッショナルになりたい。
であれば、独立して雑務に忙殺されるより、
大企業に所属してプレゼンスキルと交渉力、周囲を巻き込む力を磨いたほうが
結果的に圧倒的に近道なのです。

ゼネラリスト志向の人は、逆にフリーランスを目指すべきでしょう。
なんでもやれてやり甲斐あると思いますよ。
なんでも屋にやり甲斐を見出せるのであれば。。。
ところでエンジニアのあなたは本当になんでも屋になりたいんですか?

僕はスペシャリストになりたかった。
何年もなれなかった。
でもやっとコツが分かってきた。
立ち回り方が、分かってきた。
ポイントは周囲を動かす力。
プレゼン能力とドキュメント作成能力だ。
スペシャリストを目指すのであれば、
否応無しに説明責任が付きまとうのです。
結局その場合一番重要なのは仕事上のコミュ力だ。
そう気付いてしまったのです。
コミュ力はゼネラリストのスキルと思われがちかもしれません
違うのです。
むしろスペシャリストこそコミュ力が問われる、
ということです。

まとめます。


  • エンジニアは自分がゼネラリストを目指しているのかスペシャリストになりたいのか、しっかり自問自答しよう。
  • ゼネラリスト志向なら、フリーランスはあり。
  • スペシャリストこそ、究極のコミュ力が問われる。
  • スペシャリスト志望なら分業せざるをえないので大企業しか選択肢がない
  • 長期的視野で仕事したいなら体力のある大企業しか選択肢がない
  • 技術的に大胆にリスクテイクしたいなら、やっぱり大企業しか選択肢はない。
  • 技術的にやりたいことに集中したいなら大企業がはるかに楽
  • 大企業でやりたいことを勝ち取る程度のコミュ力(企画力、プレゼン力、交渉力)がない状態で、安易にフリーランスを目指すのは危険
  • 仕事は勝ち取るもの。与えられるものではない。

水曜日, 7月 13, 2016

32bit ARM Cortex M3 Arduino Dueによるラパイド実験のススメ


32bit Cortex Arduinoの布教とラパイド実験のススメ from Yuya Yamada

  1. 1. ARDUINO布教 ラパイド実験のススメ
  2. 2. アルゴ検証を ラパイドに。 コンセプト検証に最終形は不要。 イマジネーションを加速させるのは 思考に追従する道具だ。
  3. 3. マイコンに32BITのPOWERを
  4. 4. 8BIT AVRとは違うのだよ • A 32-bit core, that allows operations on 4 bytes wide data within a single CPU clock. (for more information go to int type page). • CPU Clock at 84Mhz. • 96 KBytes of SRAM. • 512 KBytes of Flash memory for code. • A DMA controller, that can relieve the CPU from doing memory intensive tasks. • Hardware divide.
  5. 5. 卓越したペリフェラル • GPIO 53ch →バルブ叩き放題、センサ読み放題, 割り込み自在 • 5 UARTs, 2 TWIs, 4 SPIs ,2 CANs →拡張性無限大 • 8bit PWM 11ch →お手軽にアナログ吐きたい時に便利 • 12bit DAC 12ch →基準電圧さえ確保できれば立派な測定系に。 • 12bit DAC 2ch →ヒーターやDCモータなどの制御に • Mouse / Keyboard →スタンドアロンヒューマンインターフェイスに 。
  6. 6. DETAIL OF PERIPHERALS• USB 2.0 Device/Mini Host: 480 Mbps, 4 Kbyte FIFO, up to 10 bidirectional Endpoints, dedicated DMA • ̶ Up to 4 USARTs (ISO7816, IrDA®, Flow Control, SPI, Manchester and LIN support) and one UART • ̶ 2 TWI (I2C compatible), up to 6 SPIs, 1 SSC (I2S), 1 HSMCI (SDIO/SD/MMC) with up to 2 slots • ̶ 9-channel 32-bit Timer Counter (TC) for capture, compare and PWM mode, Quadrature Decoder Logic and 2-bit • Gray Up/Down Counter for Stepper Motor • ̶ Up to 8-channel 16-bit PWM (PWMC) with Complementary Output, Fault Input, 12-bit Dead Time Generator • Counter for Motor Control • ̶ 32-bit low-power Real-time Timer (RTT) and low-power Real-time Clock (RTC) with calendar and alarm features • ̶ 256-bit General Purpose Backup Registers (GPBR) • ̶ 16-channel 12-bit 1 msps ADC with differential input mode and programmable gain stage • ̶ 2-channel 12-bit 1 msps DAC • ̶ Ethernet MAC 10/100 (EMAC) with dedicated DMA • ̶ 2 CAN Controllers with 8 Mailboxes • ̶ True Random Number Generator (TRNG)
  7. 7. DETAIL OF CORTEX M3 • ARM Cortex-M3 revision 2.0 running at up to 84 MHz • ̶ Memory Protection Unit (MPU) • ̶ 24-bit SysTick Counter • ̶ Nested Vector Interrupt Controller • Up to 17 peripheral DMA (PDC) channels and 6-channel central DMA plus dedicated DMA for High-Speed USB Mini Host/Device and Ethernet MAC
  8. 8. APPLICATION FOR WORK • Measurement • level(voltage) • sampling rate 10kHz-MAX • resolution 12bit(4096) • timing • micros() resolution is 1us • Control • 12bit DAC • 53ch GPIO 65MHz max
  9. 9. ELECTRICAL CHARACTERISTICS • Operating Temperature (Industrial).....................-40°C to +85°C
  10. 10. GPIO DETAIL
  11. 11. GPIO DETAIL

日曜日, 7月 10, 2016

すべてはBOMになる。ハードウエアエンジニアに大切なこと。

BOMとは、いわゆる部品表のことだ。

ハードウエアエンジニアの最重要アウトプットとは何か。
この問いにはそれぞれ色々な答えがあると思う。
仕様書、回路図、図面、あるいはCAD上の構想図かもしれない。
だが僕は、BOMこそが最も大切なアウトプットだと思う。

製造も、購買も、営業も、すべてはBOMをベースに動く。
BOMはあらゆることを管理することができる。
価格(コスト)、数量、リードタイム、などなど、
リストの項目に何を載せるかは、設計者のセンスだ。

マスターとなるBOMに網羅的に情報を載せることで、
あらゆることが検索、フィルタリング、可視化できるようになるのだ。
製品に対して横断的に分析するにはまずBOMから始まるといっていい。

この時、重要なことがある。

  1. できるかぎりMECE(漏れなく重複なく)にリストを作ること
  2. 極力機械的に自動的に生成すること(手打ちしない)
  3. それと徹底した一元管理だ。

ここでいう一元管理とは、
マスターとなる情報に仕上げることを徹底的に意識し、
複数のリストを作らないことである。
止むを得ず複数のリストになってしまう場合は
リレーショナルデータベースとして機能するように配慮しなければ、実用的なBOMとはならない。

BOMはいくらでも拡張できる。
設計にBOMを徹底的に生かすと、設計の品位は圧倒的に卓越したものとなる。
僕はここで仕様・構想段階の、上流でのBOMの活用を提案する。
一方エンジニアは往々にしてBOMは下流に対して作るものという思い込みがある。
僕の主張は、上流、主に検討段階でBOMがものすごく役に立つ、
だから極力、上流の段階でBOMに落とし込み、開発中も常にメンテしろ
ということだ。

僕は機械設計技師なのでメカトロ系を例にして説明する。

設計で使うBOMそのものはCSVでもエクセルでもCAD組み込みの表でもいい。
リッチなリレーショナルデータベースを使っても良い。
僕はエクセルで十分に満足している。スプレッドシートで十分だ。
検索、ソート、フィルタリング、ができ、合計が分かればそれでいい。
ポイントは合計だ。エクセルでいうところのSUM()さえ使えればいい。

BOMの項目に設計パラメタを入れるとき、重要なことがある。
足し算に意味のある項目を入れることだ。
大学で微分積分やら複雑な代数学を学んだ技術者に取って
たかが足し算にどれほどの意味があるのか、疑問に思うかもしれない。
だが複雑かつ非線形でマルチパラメタな設計を
足し算に落とし込むその過程こそが
本質を見極める上で、最も大切な思考過程であり、
大学で学んだ数学や物理の知識を駆使せざるをえない、
クリエイティブな工程だ。

あらゆる最適化テクニックにおいて、パラメタを削って式を閉じる際に
評価関数を立てるが、
加重和、要するに線形結合の形をとる場合が多々有る。
また大学で線形代数を学ぶ意味の一面も、ここにあると言っていい。
本質となるパラメタは、往々にして足し算で表現できるのだ。
大学で学んだ各種数学は、そのパラメタにたどり着くために重要となる。
幾何学、写像、変換を駆使すれば、たいていのパラメタは
足し算可能なパラメタに変換できるのだ。

まず、一般的にBOMに乗る項目を眺めていこう。
コスト、利益、価格など、貨幣価値に換算できるものはもちろんBOMに乗る。
議論の余地もなくこれらは足し算可能な項目だから、
BOMに乗せるのが合理的だ。
リードタイムや納期、工期などの時間の変数もBOMに載せることは多い。
この場合、並列化できないものを抽出できるようにBOMを組み、
ボトルネックや積み上げ工期をフィルタリングでアウトプットできるように組む必要がある。
設計の面では、重量や体積は足し算可能な、BOMに乗せても自然なパラメタだ。

もう少し設計や開発に踏み込んでBOMを眺めてみよう。
僕は機械設計技術者なので例は機械関係となる。

まず、剛性はどうだろう。
技術者なら分かると思うが、足し算が成り立つパラメタではない。
部品が増えれば増えるほど、剛性は減るのだ。剛性をBOMに盛り込むのは不自然だ。
また、剛性は基準部品の基準部位に対してどの部品が撓むのか
と言う情報にも辿り着けなくてはいけない。
そこでまず、数学を使って剛性を足し算可能なパラメタに変換しよう。
とは言ってもさして難しい話ではなく、
逆数を取ってコンプライアンス(柔らかさ)で考えるのだ。
電気回路でもよくあるが、逆数を取れば足し算可能になるパラメータは数多い。
インピーダンス(フローとエフォートの割り算)が関係してくる場面だ。
コンプライアンス、要するに柔らかさは足し算可能なパラメタだ。
だから部品表にコンプライアンスの項目を追加し、積算可能な形にすることは意味のあることだ。
次は、製品の中で、どこからどこまでの剛性に興味があるかを抽出する必要がある。
この時、メカループが定義され、リストの項目に明示してあり、
メカループ毎にコンプライアンスが抽出できるようになっている必要がある。
ここまで来たら、フィルタ一発でコンプライアンスを積み上げ計算し、その逆数を取るだけで剛性が一発計算できる環境にたどり着けるというわけだ。

強度もまた足し算していいパラメタでは、ない。
最弱リンク仮説に基づくのでリストに対して意味のある計算はSUM()ではなくMIN()だ。
ちょっとBOM化するのは少し魅力がないが、乗せておいて損はない。

MTBFの逆数は非常に重要な、BOMに載せるべきパラメタの一つだ。
MTBFそのものは足し算に意味は無い。

誤差はどうだろう。
これまた単純に和を取っていいものでは無い。
だがこれもメカループでのフィルタリングができるならば
数学で和に変換できる。
標準偏差の次元では足し算できないが、分散は足し算できるのである。
これを分散の加法性と言う。
分散の加法性は中心極限定理から説明することもできるし、
分散が2次のモーメント量という点からエネルギーに類似したパラメタとして
足し算が可能であるという説明もできる。
BOMに分散を盛り込み、フィルタ積算した値の平方根を取れば
それがユニットの誤差推定値となりうるのだ。

強度、剛性、誤差を例として挙げたがその他幾何学的なこと、要するに寸法関係も
ちゃんとフィルタで抽出できれば意味のある演算と成り得る。
メカ関係の設計パラメタをマスターBOMで管理する際に重要なことは
とにかく興味あることに対してメカループが定義され、
抽出可能な状況になっていることだ。
何がメカループなのかを考え抜くことそのものが
設計であると僕は思っている。

もっと一般化した話をすると
そもそもあらゆる機械は、
基本機能が関数の入出力としてリニアに定義されるべきなのだ。
理由は機械とは基本的にエネルギー変換機構として働く場合が多く
その場合、基本機能がリニアな、線形な関数として入出力を
何らか定義することができる。
これは品質工学的な見地だ。
ここまでたどり着くには対象となる機械の機能とは何かについて
とことん考え抜くことになるのだが、結局はエネルギー変換に行き着く。
すると、その次元だとスカラー足し算可能な境地にたどり着くのだ。
そこまで行くと後は損失関数という概念を使うことで、
すべての機能を金額換算できてしまう。
すると、すべてはBOMでコントロール可能だということだ。

微積分やら各種の変換、写像、線形化、次元削減、
様々なテクニックを大学で学んだと思うがそれらはすべて
現象を足し算に落とし込むための道しるべと言っても過言ではない。
僕は日本の学校教育は良くできていると思う。

まとめる。

  • 複雑な現象は工学的テクニックにより、足し算に落とし込める。
  • 足し算に落とし込めばBOMで一元管理できる。
  • BOMで一元管理すれば、検索、フィルタリング、可視化などの横断的分析が圧倒的に捗る
  • 複雑な現象は大抵はエネルギー変換に落とし込んで足し算で管理できるばかりか
  • 損失関数により金額換算できてしまうのでBOMに落とし込むことは自然である。
  • だから開発の上流で開発用のBOMをさっさと作り込むことこそが究極のフロントローディング開発となる。
  • これらの見地はハードウエア開発で特に有効である。


以上、BOMの重要性でした。



土曜日, 4月 11, 2015

仕事で活用!エクセルで誤差計算してみる。モンテカルロシミュレーションの例題

エクセルがあればモンテカルロ計算は簡単です。
グーグルドライブで計算例のエクセルシートを作成しました。
どうぞ仕事に活用してみてください

EXCEL Monte carlo simulation

一様分布による積み木の累積高さ誤差シミュレーションと
ボックスミューラー法による正規分布での
積み木の累積高さ誤差シミュレーションを例題としています。

質問等はコメント欄に。

誤差計算の考え方を知りたい方は下記記事を参照してください。

【公差解析】二乗和平方根の注意点まとめ 機械設計や研究開発での誤差計算

乱数列の作り方は簡単です。


狙い値A、ばらつきB、すなわちA±Bを一様分布で作り出すときは
=A + B*(RAND()-0.5)

正規分布乱数でシミュレーションするときは

標準偏差σをどうするかが各技術者のノウハウとなります。

例えば3σ=Bと仮定するなら、σをB/3として

=A + σ*SQRT(-2*LN(RAND()))*COS(2*PI()*RAND())
として乱数列を生成します。
(ボックスミューラー法のエクセルでの表記)

標準偏差と公差の関係に自信が無いときとノウハウが無いときは
一様分布によるモンテカルロ・シミュレーションを試してください。
3σ正規分布による試算と比較して1.7倍くらい安全側にマージンができます。

σを決めたいときはちゃんと実測して統計量を把握しておきましょう。
ここはとても重要なノウハウとなります。


ちなみに試行回数は少なめで例題を作りました。
試行回数は欲しい精度で変わります。
精度を一桁上げるには試行回数は2桁上げてください。
精度10倍にしたければ、試行回数は100倍です。

歩留まり計算などを行うとき、計算精度はとても重要になります。

品質の良いモンテカルロを行いたければ試行回数はもちろんのこと
メルセンヌツイスターなどの良質な乱数を使いましょう。

エクセルでメルセンヌ・ツイスターを使いたい場合は
NtRandというライブラリが便利です。

4σレベルで歩留まり計算をやるときなんかは正規分布の品質が命!!

木曜日, 4月 02, 2015

研究開発時のパラメータ選択の考え方

研究開発時において、
適切なパラメータを選択できるか否かは

仕事の効率や成果に直結する
非常に重要な課題

だと思うのですが、
その一方で、誰しも直感でえいやーって
選んでしまうものです。

僕はもっと慎重にパラメタ選定すべきと思うな!!

このコンテンツでは物理量、や次元、
パラメータ選択のヒント、

そしてエネルギーという概念の有効性について

まとめてみました。
対象者はメカ/電気のエンジニアです。
結論を先に言うと、エネルギーという概念は便利だということです。

何を計り、どんな量で考えるか?

現象の本質に迫るには、計って考える必要があります。

結論から言うと、
計り易い量と、考え事に向いている量は
まったく異なるため、
計測する物理量と検討に使う物理量は
ちゃんと分けて考える必要があります。
ここをごちゃ混ぜにすると、本質には迫れません。

これができていないエンジニアが意外と多い気がしたので
今日は次元について語ります。

考え事に向いている次元

僕の経験によれば、
考え事に向いている量は以下3つが挙げられます。

無次元量

物理量をバッキンガムのπ定理で
削ぎ落とし、最終的にのこった変数


考え事には向いているのに直接計測が不可能な典型的例

メカ
アスペクト比、ラジアン、比重、原子量、
レイノルズ数、ヌセルト数、プラントル数、
グラスホフ数、マッハ数、レイリー数、
ゾンマーフェルト数、ポアソン比 電気
サイクル 、
Q値、ゲイン、SN比、アーラン数、比誘電率、磁化率

力

力学でもっとも大切だけど、
もっとも定義が曖昧な自己矛盾をはらむ量。

完全に理解している人はたぶんいない。
本質的に測定は難しい。
フックの法則を使って間接的に計る方法が多い。

保存量

時間変化しない。適切な系であれば座標変換から解放される。

直接計測は極めて難しい。
もちろん、本題のエネルギーもまた保存量。

その他、かなり考え事に便利な量
  • 
上記に対しての各種モーメント量
  • 
時間発展が知りたいときは、状態量(p,x)

  • 熱力学なら状態量(圧力・エントロピーとか)
  • 
波動関数ならインピーダンス 
ポイントは、
考え事に向いている量は
どれもこれも本質的に計測が難しい
ということです。

計り易い次元の例→基本単位

そもそも測り易くて原器が作り易いから、基本単位

測りにくい次元の例→力

  • 第一原理で力が現れる式は少ない 
  • 計測の過程で物理変換が多数入る。
  • 計測にキャリブレーションが必要 
  • 6自由度を独立して計測することが極めて難しい 
  • 観測が対象に必ず影響を与えてしまう。

エネルギーという概念の素晴らしさ

メリット

  • 保存量かつスカラー
⇒物理法則の対称性に基づく、
  • 次空間座標からの解放
  • 系の取り方が間違いなければ、正確な議論が可能
  • 現象をまたげる。例:エネルギー変換
  • 身近な現象は全部エネルギーに置き換えることができる
  • 演算が足し算と引き算しかない

デメリット

  • 直接観測できない。
  • 変換しなければいけない。
  • 系のとりかたはとても難しい。センスがいる。 

定義は
力×変位の空間方向積分
 
一般化したらフロー×エフォート=運動量×力


ちなみに波動関数で記述可能な現象は、
フローとエフォートの積であるエネルギー率
で分析するだけでなく、
フローとエフォートの商であるインピーダンス
も合わせて議論する方が望ましい。

なぜ品質工学は的を得ているのか、 その物理学的側面からの考察

  • エネルギーの次元で考え、

  • エネルギーに類する測り易い量を計測し、
  • 
デシベル・ゲインという無次元数(エネルギーの比)で整理する。
だからこそ「本質を究める」ことが可能となります。
エネルギーに紐付けられない品質工学は間違っています

(私の信念であり裏付けはありません)

私のメッセージのまとめ

考えやすい物理量を無理して測ろうとしていませんか?
計測しやすい物理量で無理して考えていませんか?
エネルギーという概念はとても便利です。
意識的に多用しましょう!

実験のN数の決め方 アベレージング理論

サラリーマンエンジニアのXELです。
仕事柄、得意分野は統計学。
よくモンテカルロとかやってます。
さて、実験やる時に
何度か試行して平均を取る
ってやり方をなんとなくやってたりしませんか?

経験的にも直感的にも

たくさん試行して平均取った方が真値に近づけて良さげ

な気がする訳ですが

じゃあ結局、何回やれば気が済むの!?
って思いませんか。

実は、これアベレージングっていう立派なテクニックです。
平均をとることで観測誤差の影響を緩和させているわけです。

結論は、
「N回の測定を平均すると、誤差は1/ (√N)になる」
これが答えです。

具体的には
4回の平均で精度2倍、100回測れば精度10倍

アベレージング理論の根拠は,大数の法則とエルゴード仮説です.
アベレージングはなんにでも使えるわけじゃなくて
計測誤差分布が加法性ホワイトガウスノイズであることが前提となります。
とはいえ、ほとんどの場合に使えます。

いかなる誤差分布であれ、それらの線形結合は正規分布に収束するという、
中心極限定理があるから、世の中のほとんどの誤差分布は
正規分布だからです。

以上,実験やる人にはぜひ知っておいてほしい小話でした.

水曜日, 4月 01, 2015

エンジンの慣らし運転について

結論としては

アイドリング回転数上げとけばいいんじゃないかな?

レーシングエンジンみたいに。

レーシングエンジンとか
そもそもほとんど慣らし、しないんだし。

バリと馴染みで鉄粉でるから
こまめにオイルは交換して
オイルフィルタは交換しない
(フィルタがスカスカな状況で使わない)
ってのが良いと思う。

なぜか。
それはこの問いから始まると思う。

エンジンはいつ痛むのか。

それはまず第一に始動の瞬間である。
油圧ないから。
セルモータを回した回数だけ
エンジンは痛む。削れる。

次にシビアなのが低回転領域。アイドリングとか。
これまた油圧がかからないからだ。
それに各部メタルも
境界潤滑条件(固体潤滑と流体潤滑の境界)だからね。

レーシングエンジンのアイドリングが高い理由って
もしかしたらコレも理由なのかな?

さて
WR250Rのエンジンパーツの表面処理の仕様確定するために
処理屋さんと色々相談したんだけど

高回転領域ってDLCとかはあんまり効かないんだって。
油圧でちゃんと部品が油に浮くから。
低回転に効果的であって、
だからこそエコカーとかで採用されるんだそうな。

高回転を改善したいなら、
表面にコーティング張るんじゃなくて
幾何学的な改善
要するにラッピングとかでの鏡面処理で
油膜の安定化を目指した方が効果的みたい。
(これは半分俺の予想。ヒアリングからの推察。)

まぁ固体潤滑な場所は当然として
境界潤滑な場所は表面処理改質は効くと思うけど
流体潤滑な場所はあくまで面粗度が効きそうだよね。
円筒度とか、平面度とか、表面粗さとか、

とにかく幾何学的特徴が流体潤滑での
摩擦係数を支配していると思う。

油で浮いてしまえば表面の材質や硬度は関係ないはず。

シリンダ・ピストン間とかの流体潤滑になり得ない場所は
ミクロな油溜まりを如何に形成するかがポイントだけど。

ところでその一方で処理屋さんは

エンジンが壊れるのは低回転か、高回転のどちらか

ともおっしゃっていました。

低回転は油圧の不足から。
削れていくんだって。進行性の壊れ方
高回転はもちろん慣性力が大きいから。
ポキっと逝っちゃう突然な壊れ方

そんなわけで
エンジンにとって楽な領域で慣らし運転始めた方が良いと思う。
だから最初はアイドリング回転上げつつも
高回転は使わないのが慣らしとしてはいいのかもしれない。

で、そこからシビアな領域に慣らしの領域を広げていく、と。
ここでいうシビアな領域とは高回転と低回転ね。

となればせめて

慣らし中の暖機運転はアイドル回転数上げておきたい

そう思って僕はスロットル固定タイプのクルーズコントロール買いました。
アイドル調整スクリューいじるのはめんどいからね。
これでエンジンミッションフルOHしたWRの慣らしが捗るぜ!!
ひゃっはー

月曜日, 1月 27, 2014

【公差解析】二乗和平方根の注意点まとめ 機械設計や研究開発での誤差計算 

2乗和平方根とは√Σ(Xi^2)のことです。
エクセルで書くと、
=SQRT(SUMSQ(セル))

2乗平均平方根とはまったく異なるから注意!!

誤差を二乗和平方根で計算するとは

累積誤差=√Σ(誤差^2)
と見積もることを指します。

これもエクセルで書くとするなら
誤差をA1セルからA5セルまで入れておいて
誤差=SQRT(SUMSQ(A1:A5))と計算することです。

個々の誤差が正規分布なら、これで大丈夫です。
ところで本当に個々の誤差は正規分布なのかな!?

そして図面や仕様書に±Aって公差が書いてある場合、
そのAは3σなの?4σなの!?どう解釈すればいいの!?
ってところがみんな謎なんじゃないかと思います。

エクセルでのモンテカルロ誤差計算
の方法を知りたい方は下記記事を参照してください

漠然と腑に落ちない誤差計算

  • 二乗和平方根って便利だけど、どこまで信じていいのか良くわからない。 
  • モンテカルロ法って何?なんか胡散臭くない??
  • 
標準偏差と設計公差レンジって結局関係あるの? 
  • なぜシステムが一発完動しないのか。


この記事の目的

  • 代表的な誤差検討手法3種のそれぞれの比較。
  • 二乗和平方根の根拠(分散の加法性)とその適用限界(線形結合モデル)について明らかにし、 設計で使用する際の注意点を明確化する。

代表的な誤差計算手法

  • ワーストケース検討
  • 2乗和平方根
  • モンテカルロ法

ワーストケース検討による誤差解析

例えば図面や仕様書上、±1という公差がふられていた場合、
その最大値(この場合1)を単純和してアセンブリ状態での誤差を
議論する方法である。
交差が±1の部品が3つあったら、その誤差は±3になるよってこと。

累積誤差=Σ最大誤差

メリット
  • 簡単かつ直感的。
  • 単純明快ノーリスク
  • 過剰品質になりがち。
  • 部品点数少ないときは有効 
デメリット
  • 部品点数多い時は馬鹿馬鹿しいほどに過剰品質になる。 
ワーストケース検討の例題
積み木の Z error stack
要求定義
N個の積み木をHTargetmm±ΔHmmに積み上げる。
この際の個々の積み木の⊿hnはどの程度の精度が要求されるかを計算する。
誤差解析の課題
それぞれの積み木の設計狙い値をhnとして、
設計公差Δhnはどのように割り付ければ良いか。

積み木の高さの設計狙い値はご存知のとおり、
h = Htarget / n

積み木の個々の高さに誤差が無ければこれで終了。
残念ながら現実には誤差が存在し、
実際の積み木の積み上げ高さは

H = [理論値]+[誤差] = h × n(=Htarget)+誤差の総和 と
なる。 実際の積み木の積み上げ高さ
H = h × n(=HTarget)+誤差の総和
上記を誤差について解くと、

誤差の総和= [実際の高さ] – [理論値] = H – h × n( = HTarget)
積み木個々の高さは
h = HTarget / n  (式1)
H±ΔH = h1+h2+…+hn
 =(h±Δh1) +..+ (h±Δhn=N)
 = h×n +ΣΔhn

ただしワーストケースにおいては
H±ΔH = h×n ±n × Δh  (式2)
式2から式1を引くと、
ΔH= n × Δh
求めたい積み木個々の誤差Δhについて解くと、

Δh= ΔH/n          (式3)
式3の解釈
高さ要求精度ΔHを完全に満たすための積み木個々の高さΔhは
部品点数に反比例して厳しくなる。

2乗和平方根による誤差解析

ワーストケース検討は馬鹿げている。
そのため、皆さんがいつも使用しているツールがご存知、
「二乗和平方根による検討。」

出来る限り厳密に表現するならば。。。

「仮に部品誤差の確率分布期待値が正規分布に従っているとすれば、分散の加法性に基づいて部品誤差の設計値周りの二乗平均平方根の二乗和平方根がアセンブリ状態での設計値周りの二乗平均平方根になる法則。」


背景と根拠と適用限界は後で説明するとして
バカ正直にツールとして
使った結果のみをまずは次ページより示します。

我々が良く知っている事実

積み木全体の高さ誤差ΔHは
個々の高さ誤差Δhに対して、
おそらく以下のような関係性があると思う。
 
ΔH=sqrt( (Δh1^2) + (Δh2^2) + … + (Δhn^2) )
 =√(Σ(Δhn^2)) (式4)


仮に、Δhが全部の積み木個々で同じ程度であれば、

Δh=Δh1=Δh2=…=Δhnと置いて、

ΔH≒√(n) × Δh(式5)
(式5)の解釈
「部品の数の平方根に比例して誤差が増える」

 式5をΔhについて解くと
Δh=ΔH/√n (式6)
もしも式6が正しいなら、

ワーストケース検討の
Δh=ΔH/n(式3)と比較して、 
過剰な誤差見積もりの程度の定義
過剰誤差見積もり=(N−√N)×(物理量、長さ?) 

計算に必要な仮定

  • 結果が個々の独立した現象の線形結合でモデル化できる。y = ax1 + bx2 + …
⇒応用可能なフィールドが極めて限定的。例えばバネ半力の誤差計算や姿勢(三角関数)の絡む問題には使用が難しい!!座標変換の知識が必要になる。 
  • 誤差の分布が正規分布(ガウシアン)
⇒かなり怪しい。
 
  • 実際の部品の実測結果の設計値周りの二乗平均平方根と設計公差になんらかの関係がある。
⇒例えば、3σ=設計公差半値幅の仮定など。
そんな馬鹿な。
 
  • 設計値と実際の部品の実測結果の算術平均値が一致している。
⇒そんなことはありえない。 

分散の加法性に基づいた二乗和平方根を使っても良い場合とは

  • 誤差モデルが線形結合の形で表現できる。
非線形方程式は使用できない。 
  • 少なくとも選別品ではない。選別品の確率分布は正規分布にならないため。
  • バックデータ、もしくは数多くの実績があり、公差=3σなどの仮定が信頼できることが既知である。

  • 相対比較やコンセプト改善比較には有効。 
  • 前提/仮定を正しく理解して使用する限り、簡便かつ効果的手段。 

線形モデル(Linear)とは。

  • 概念的には「入力に対して出力がまっすぐ立ち上がる。」 
  • 実用的には「重ね合わせの原理が使える」 
  • 数学的には「加法性(f(x+y) = f(x)+f(y))と斉次性(f(ax)=af(x))を満たす」
もしくは行列式(線形写像)で表現できる。 

身近な線形モデル;

積み木の高さ誤差stack ΔH = Δh1+Δh2 

身近な非線形モデル

バネの力;F+ΔF = (k+Δk)×(x+Δx)=kx+kΔx+xΔk+ΔkΔx

モンテカルロ法

後日暇な時にまとめます。
Excel使えば超簡単!かつ上記二つより信頼できます。
実測データを叩き込めるのがとても良いです。
私はこれをオススメしたいのですが、まだ記事がまとまっておらず。。。

排気系(マフラー)の理論/技術基礎について

学生フォーミュラやってた頃に書いた昔の文章です。

目次

1,排気音の支配パラメータ
2,機械要素としてのマフラーの支配パラメータ
3,排気系に求められること一般
4,排気温度のコントロール
5,エキマニと高出力化手法
6,排気系の騒音について
7,その他の技術Tipsとかなんとか
8,素材
9,Formula-SAEにおける排気系設計についての考察

1,排気音の支配パラメータ

  • 音圧
  • 周波数分布
音色というと特定の周波数が強調された音です.
生理的にいい音色は倍音成分を含んだ音だったりします.

2,機械要素としてのマフラーの支配パラメータ

  • 排気温度←耐熱性より材料決定
  • 排気圧←全面的にエンジンをチューニングするなら極限まで落とす必要あり.
    ただし,チューニングレベルによっては落とせばいいという物ではない.
    音圧に対して弱いトレードオフの関係がある.
  • 重量←軽ければ軽いほどいい.強度と剛性に対して強いトレードオフ
加振に対する対策が必要なので強度設計よりも剛性設計が支配的だと思われる.

3,排気系に求められること一般

  • エネルギー回収:ターボ加給,熱電素子など
  • 消音⇔排圧:一般にはトレードオフ
  • 排気の誘導:忘れがちな、最も大事な役目.
  • 強度・剛性・動剛性
  • 耐久性:formulaだとそこそこあれば十分.
振動放射音対策により動剛性が決定される.
静剛性と強度は車両の加減速・コーナリングで
発生する慣性力(体積力)より求められる.

4,排気温度のコントロール

触媒からの要求
もしも触媒を搭載するのならば,
最適動作温度内に置きたいので重要である.
その対策としては
  • 2重排気管の採用←フォーミュラだと無理
  • 断熱材の採用←グラスウールを巻けば放射音対策にも.
  • エンジンの排気口直下に配置
等がある.3番目の方法は独立マニフォールドとトレードオフになる.
また,1次の共鳴加給効果が非現実的な高回転にシフトする.
ただし,2次や3次なら少々期待できる.
競技用車両だと採用は難しい.

騒音面からの要求

200℃下げるとエキゾーストノイズは5~6dB低減されるので
出来るだけ排気温度は下げたい。
方法としては肉厚パイプの採用等がある

排気バルブ直下でのの排気温度の参考値

  • アイドリング:約300~400℃
  • 全開全負荷時:約900℃
やはり,耐熱合金を使用したくなければ
エキマニの冷却を考慮する必要があるだろう.
実用的にはステンレスで十分,
金があればチタンがいいだろう.
エキマニの出口付近のみならばインコネルも有効だが
加工が大変そうだ。

5,エキマニと高出力化手法

集合管はバイクチューニングの神POPヨシムラが何の気なしに開発したことであまりにも有名である.
  1. 等長マニフォールド
    脈動加給効果を狙うには集合部までの音響工学的長さを等しくする。
  2. 独立マニフォールド
    各管長は相互干渉、逆流を防止するためにある程度の長さを確保するといい感じ。
  3. パイプ式マニフォールド
    排気管内部は極力滑らかにし、管内流圧力損失を減らすといいかも。
これら全ての用件を兼ね備えたエキマニを通称「タコ足」という。

6,排気系の騒音について

総論

マフラー【muffler】
  1. 襟巻き
  2. 自動車の排気音や銃の発射音などを消す装置.消音装置.サイレンサー
広辞苑より

排気系からの騒音の分類

排気系からの騒音は以下の2種に大別できる
  1. 排気系吐出音
    1. 排気の脈動圧力波(爆発一次成分)
    2. 気流音(高周波成分)
    1. 排気系表面放射音
    2. 透過音
    3. 排気脈動を加振力とする振動放射成分
脈動圧力波の周波数は一秒間あたりのエンジンの爆発回数であり,エンジン回転数[rpm]×気等数÷60となる.

静音化の大雑把な考え方と手法

  • 可聴周波数から外す
  • 測定部位から外す。邪道だが有効。
  • 吸音

具体的消音原理

吸音
ターゲット
中高周波成分
原理
音圧により細い繊維などを振動させて熱エネルギーに変換する。
吸音材としてはグラスウール,ロービングウール,バサルトウール等がある.
共鳴
ターゲット
100Hz以下の低周波をピンポイントで.
原理
行き止まりの共鳴室(レゾネーター)をマフラー内に設け,排気パイプを接続し,パイプ出口と共鳴室の間を音波が行き来させながら,そのエネルギーを摩擦抵抗によって減衰し,熱エネルギーに変換する.
拡張
ターゲット
全域で効果絶大
原理
排気管断面積の急激な拡大により排ガスを膨張・回折・分散し,マフラー隔壁にぶつけて乱反射させ,減衰させる.

干渉

ターゲット
チューニング次第でどのような周波数もピンポイントで対応可能
原理
メカニカル式
排ガス流路を二股に分岐させ,流路差を与えて再度合流させる.流路差によって生じる位相差を利用して互いの騒音を干渉,消音させる.排気系の取り回しを考えると現実的ではないし,ピンポイントでしか効かない.
電子式
排気音をマイクで拾って音圧と位相を測定しアクティブスピーカーにより同音圧逆相違音波を発生.それを排気ガスにぶつけて干渉させる.
スピーカーの動特性により,対応できる周波数に限界がある.現在の技術では500Hz程度だといわれている.

7,その他の技術Tipsとかなんとか

マフラー内部で排気音を乱反射させよう
スピーカーのエンクロージャーボックスと同じく,チャンバーに対向する平行平面があると定常波が発生するので良くない.究極の理想は球体だがパッケージングと生産性を考えるとあまりに非現実的.せめて楕円形なんてどうだろう.直方体のマフラーなんて動剛性的にも最悪である.
マフラー膨張室において仕切り板に凹凸をつけて消音させることも出来る。

パイプのベンド部の処理

エキパイの曲率がきついところは断面積をそのままか,ちょっと広げた楕円断面にすることで,内部の進行方向に対して直角方向にできる立て渦を低減して損失を減らすことができるのだが,輪切りマフラーかハイドロフォーミングが必要となり現実的ではない.
同じ効果をマフラー内部に板を立てることで発揮することができるが,板の存在による損失増加と立て渦減少による損失現象のどちらが支配的になるのか,実験しないと分からない.たぶん,板にまとわりつく境界層排除厚さ分を補うだけの断面積増加が必要だ.やはり,難しい.

排気系可変装置

現在のところ弁を使用した可変マフラーには下記に挙げるとおりの3種類があるようだ.弁にはバタフライバルブなどを使用し,エンジン回転数やアクセル開度の関数としてオープンループ制御すればよい.
  1. 1) 可変排圧コントロール
  2. 2) 共鳴室と拡張室へ切り替え
  3. 3) 集合方法の切り替え
1はバイクではよくやる手法である.スズキが得意だ.
2は車でよく採用される.例えばタイコ内のパイプ入り口に排圧で作動する弁を設け,低速では拡張室として使っている部屋を高速では膨張室に利用することで,低速での低周波騒音と高速での中高周波騒音を,中高速域での排圧損失を最小にしながら両立させるメカニズムがある.
3の例としてはヤマハのEXUPなどがそうだ.

8,素材

最近の乗用車用排気系の傾向と対策

乗用車では排気パイプにはSUS409(Fe-11%Crのフェライト系)が加工性と応力腐食割れが起きにくいため使用される,が,formulaにはどうでもいい.乗用車マフラーというか正確にはサイレンサー(タイコ)にはSUS430系も使用される.

チタン

耐食性と強度に優れるのでマフラーの構造材としては大変優れた素材である.500℃以上では強度低下.600℃以上では酸化が進むため,エキマニ直下の放熱対策はある程度必要となる.加工性と経済性は悪い.βチタン以外は何でも良さそうだ.

純チタン

純チタンは純度が高い方いと性能がいいかも.必要にして十分な機械的性質を持っている.
もしチタンマフラーをつくりたいなら妥当な材料だ.

αチタン

αチタンは純チタンより耐食性に優れる.まあレーシングカーにはどうでもいいことだ.
また,高温強度やクリープ特性にも優れるため,エキパイにうってつけである.

α+βチタン

α+βチタンは時効熱処理による析出硬化合金である.純チタンやαチタンよりも強度,靭性が高く,加工性にも優れる最強のチタン合金である.溶接性も良いため,これまたエキパイにはうってつけである.しかし少々オーバースペックのきらいがある.余力があれば挑戦したい.

βチタン

βチタンは焼き入れや析出硬化により最も高い強度を誇るが,焼き入れ時の冷却速度を間違えるとぜい化が起こるらしいが,エンジンぶん回して水溜りに突っ込んだらいったいどうなるだろう?
高温強度や対酸化性はそれほど良くないのでマフラーにする意義は特にない.
どちらにせよα+β型とβ型は温度変化の激しい排気バルブ直下だと熱処理も台無しになるかもね.

ニッケル合金

インコネルを代表とするニッケルベースの各種耐熱合金は比重が重いので扱い難い.比強度,比剛性が悪い訳ではないので上手に設計製作すれば軽く作れるが,そんな薄肉パイプを入手できるかどうか.あと色々謎が多くてなんとも.
僕らにとっては色々な意味でオーバースペックである.

ニレジスト(耐食・耐熱鋼)

ステンレスは必要にして十分な機械的性質を持つ.これで十分である.しかし,多少重くなるかもしれない.耐熱鋼も同じく.

鋳鉄・鋳鋼

一昔前の乗用車用エキゾーストマニフォールドは大半がこれだが,どうしても肉厚を落とせないので重すぎる.型を起こすのも面倒くさいし,競技用自動車に使う理由は何一つ無い.

9,Formula-SAEにおける排気系設計についての考察

出力と音響特性の高度な両立,ひいては環境性能と動力性能の妥協無き追求を目指すのが我がチームの最終目標であるため,その方向性は量産乗用車に酷似していると考えられる.
ただ,軽量化に対する要請は量産車の比ではないし,生産手法が全く異なるため,その構造と材質は全く異なるものになることが予想される.
静音設計と低排圧は相反する用件だが,拡張消音の使用を控える事である程度は達成できると考えられる.戦略としては高周波領域を吸音により,低周波域は共鳴によって消音すればよいと思われる.
排気システムの可変装置の有効性はかなり高い,と思うよ俺は.ヤマハ発動機のEXUPのような可変排圧機構もコンパクトで効果が高い.何らかの可変機構はプレゼンテーションでのポイント稼ぎに多少有効かもしれない.
メカニカル干渉消音は重く,かさばるので競技車両に搭載するにはかなりの工夫が必要とされるだろう.排気温度を抑えるには熱交換器を付けるか,パイプの肉厚を増やす必要があるが,重量の増加は免れないだろう.

エキゾーストマニフォールドの設計手法について妄想

エキゾーストマニフォールドの設計スペックはエンジン排気バルブから集合部までの音響長さとパイプ径,集合部形状,集合方法などがある.また,触媒の有無によりその形状は変化するだろう.
パイプ径と音響長さはエンジンが狙うトルクバンドによって決定される.
これは吸気管での共鳴加給効果/慣性加給効果と同じ関係であり,共鳴加給(吸出し)効果のピーク回転数はエキマニの長さを,慣性加給(吸出し)効果の発生回転数はエキマニ直径を決定する.

共鳴加給効果と吸排気管長と集合方法について

排気バルブより吐出された圧力波が集合部に到達する時間を各気筒等しく合わせた排気系を等長エキゾーストマニフォールドという.等長とは実際の長さではなく,音響長さのことである.
集合部を自由端として反射された圧力波は,再び排気バルブ付近へ戻ってくる.そして次の排気サイクル時に排気バルブ近傍に到達した圧力波が負圧波であれば,排気ガスは強制的に吸いだされる.これを脈動(共鳴)加給(吸出し)効果という.音響管長が長ければ到達まで時間がかかるため,低回転域で,短ければ高回転域でその効果を発揮する.また,セッティング次第では高回転域で一往復目(1次),低回転領域で2往復目の圧力波にて慣性加給を行う事もできる.これは4-1集合で顕著に現れるのだが,中速域にトルクの谷ができるため,ドライバビリティーに難がある.対して4-2-1集合にすると自由端となる集合部が2箇所できるため,圧力波は2回到達することになる.その圧力波同士で干渉するためか,脈動加給のピークはハッキリと出ない上にピークも若干落ちるが,中速でのトルクの谷もなくなる.また,爆発間隔が離れた気筒同士を4-2でまとめることによる気筒間干渉低減によりピークパワーの落ち込みはある程度回復させることもできる.
つまり,ピークパワーなら4-1集合が,ドライバビリティーは4-2-1集合が良いことになる.

慣性加給効果と級排気管直径

吸排気管における慣性加給効果とは平たく言えば水力学における水撃作用であり,その効果は流速の一乗のオーダーである.
作動ガスの慣性力によって発生する圧力は適切に設計すれば吸気をシリンダーに押し込んだり,排気をシリンダーから吸いだしたりすることが可能となります.
しかし,ただ単に流速を上げればいいという単純な話ではなく,バルブタイミング,特にオーバーラップと協調したセッティングを必要とします.
流速を上げるには管径を絞ればいいのだが,際限なく絞ろうものなら,ふん詰まりになって流量が裁けないことうけあい.
吸気系の話だがエンジンチューニングの本でポートは広げれば広げるほど良いって書いてある奴がまれにあるけどそれは嘘です.騙されちゃあいけません.実際には流量と流速を両立させなきゃいかんのです.目指すは狙った最大トルク発生回転数で吸気流速をどれだけ音速近くに持っていけるかだ.
というか,むしろ目標最高出力から混合気の必要流量を計算して,その流量を達成できる範囲内で極限までポート系は絞るべきなのだ!
あと,ポート壁面の平滑度と流量の関係はそのうち調べてUPりますね.
最大トルク発生回転数,つまりトルクバンドでシリンダーへの混合気の充填率を最大とするような管径は,管径の細さで獲得した流速による水撃作用の圧力と管径の太さから与えられる流量により決定される.
つまり管径を太くすれば最大充填率を得られる回転数が高回転へシフトし,管径を絞れば低回転へシフトするのです.
ちなみに二輪でのREVやHYPER-VTEC,4輪でのVTEC-E,3stageVTECなど,ホンダが得意とするバルブ休止機構は可変吸気管断面機構であり,慣性加給を全回転数領域で使用するための機構だと言えます.その点はBMWのバルブトロニックやいわゆる普通のVTECに代表される可変バルブストロークとは少々趣が異なるのです.

じゃあ,どうしましょう

要約すれば,パワーバンドを低回転にシフトするには太くて短い吸排気管を,パワーバンドを高回転にシフトするには細長い吸排気管にすればよい事が分かります.
Formula-SAEでは吸気を20mmのリストリクターで絞るため,必然的にトルクバンドを低回転にシフトする必要があります.そのため,吸排気管を最適化すればノーマルと比べ,より細長い形状になると予想されます.ドライバビリティーはもちろんのこと,高出力化のためにもこれは必然です.

建て前と欺瞞を求めて

我らののマシンはクリーンさも売りにしたいので是が非にでも触媒を搭載したいものですが,触媒の温度コントロール,特に始動時のエミッションコントロールのためにエキマニにグラスウールなどの断熱材を巻きつける必要があるかもしれません.そうなるとエキマニの音響長さが実質的に短くなるため,より長いエキマニが必要となり,重量と取り回しの面では不利になるかもしれません.
他方,エンジンの排気音は低く抑える必要があるのでテールエンドでの排気温度は極力下げる必要があります.そのためにはアルミなどの熱拡散率の高い素材を使用する必要があります.排気システムの最下流に位置するサイレンサーはエキゾーストパイプほど耐熱性が要求されない部位であり,前例もありますので,アルミサイレンサーは現実的です.
管の肉厚を適度に厚くすると放熱性は良くなりますが,重量との兼ね合いを考えると得策ではありません.

その他どうでもいいこと

バルブタイミングに手を付けずにECUのセッティングのみでパワーバンドをシフトするとなると,オーバーラップが大きすぎると思いますのでトルクを確保するにはある程度の排圧が必要となるかもしれません.そうなれば拡張消音なども効果的に利用できますのでかなりの低騒音を実現できる可能性があります.
静音性を考えるにあたって,排気系の次に問題となるのは車体の風切り音とドライブチェーンです.音にこだわるならばサイレントチェーンやコッグド・ベルトの採用も視野に入れる必要があります.また,チェーンの騒音は高周波を多く含むため,フルカバードにするだけでかなりの騒音低減が見込めます.選択肢としては普通のチェーンをフルカバーするか,サイレントチェーンです.そのどちらかをトータルでの重量とコストを考えて採用する事になると考えられます.

参考文献

超・クルマはかくしてつくられる 福野礼一郎 二玄社

月曜日, 1月 20, 2014

研究開発時のパラメータ選択方法

研究開発時において、
適切なパラメータを選択できるか否かは
仕事の効率や成果に直結する
非常に重要な課題だと思うのですが、
その一方で、誰しも直感でえいやーって
選んでしまうものです。

僕はもっと慎重にパラメタ選定すべきと思うな!!

このコンテンツでは物理量、や次元、
パラメータ選択のヒント、
そしてエネルギーという概念の有効性について
まとめてみました。

何を計り、どんな量で考えるか?


現象の本質に迫るには、計って考える必要があります。

結論から言うと、
計り易い量と、考え事に向いている量は
まったく異なるため、
計測する物理量と検討に使う物理量は
ちゃんと分けて考える必要があります。
ここをごちゃ混ぜにすると、本質には迫れません。

これができていないエンジニアが意外と多い気がしたので
今日は次元について語ります。

考え事に向いている次元

僕の経験によれば、
考え事に向いている量は以下3つが挙げられます。
無次元量
物理量をバッキンガムのπ定理で
削ぎ落とし、最終的にのこった変数

考え事には向いているのに
直接計測が不可能な典型的例
メカ
アスペクト比、ラジアン、比重、原子量、
レイノルズ数、ヌセルト数、プラントル数、
グラスホフ数、マッハ数、レイリー数、
ゾンマーフェルト数、ポアソン比 電気
サイクル 、
Q値、ゲイン、SN比、アーラン数、比誘電率、磁化率
力
力学でもっとも大切だけど、
もっとも定義が曖昧な自己矛盾をはらむ量。

完全に理解している人はたぶんいない。
本質的に測定は難しい。
フックの法則を使って間接的に計る方法が多い。
保存量
時間変化しない。適切な系であれば座標変換から解放される。

直接計測は極めて難しい。 
もちろん、本題のエネルギーもまた保存量。

その他、かなり考え事に便利な量
  • 
上記に対しての各種モーメント量
  • 
時間発展が知りたいときは、状態量(p,x)

  • 熱力学なら状態量(圧力・エントロピーとか)
  • 
波動関数ならインピーダンス 
ポイントは、
考え事に向いている量は
どれもこれも本質的に計測が難しい
ということです。

計り易い次元の例→基本単位

そもそも測り易くて原器が作り易いから、基本単位

測りにくい次元の例→力

  • 第一原理で力が現れる式は少ない 
  • 計測の過程で物理変換が多数入る。
  • 計測にキャリブレーションが必要 
  • 6自由度を独立して計測することが極めて難しい 
  • 観測が対象に必ず影響を与えてしまう。

エネルギーという概念の素晴らしさ

メリット

  • 保存量かつスカラー
⇒物理法則の対称性に基づく、
  • 次空間座標からの解放
  • 系の取り方が間違いなければ、正確な議論が可能
  • 現象をまたげる。例:エネルギー変換
  • 身近な現象は全部エネルギーに置き換えることができる
  • 演算が足し算と引き算しかない

デメリット

  • 直接観測できない。
  • 変換しなければいけない。
  • 系のとりかたはとても難しい。センスがいる。 

定義は
力×変位の空間方向積分
 
一般化したらフロー×エフォート=運動量×力


ちなみに波動関数で記述可能な現象は、
フローとエフォートの積であるエネルギー率
で分析するだけでなく、
フローとエフォートの商であるインピーダンス
も合わせて議論する方が望ましい。

なぜ品質工学は的を得ているのか、 その物理学的側面からの考察

  • エネルギーの次元で考え、

  • エネルギーに類する測り易い量を計測し、
  • 
デシベル・ゲインという無次元数(エネルギーの比)で整理する。
だからこそ「本質を究める」ことが可能となります。
エネルギーに紐付けられない品質工学は間違っています

(私の信念であり裏付けはありません)

私のメッセージのまとめ

考えやすい物理量を無理して測ろうとしていませんか?
計測しやすい物理量で無理して考えていませんか?
エネルギーという概念はとても便利です。
意識的に多用しましょう!